【書評】「2次会は出るな!~20人で340億! カリスマ商社マンが教える!ビジネスマンのための「稼ぐ力」をつける13のレッスン」中村繁夫(フォレスト出版)

本書は、「二次会は出るな」という、そのセンセーショナルなタイトルとは裏腹に著者のビジネス現場で得た経験から導き出された「稼ぐ」ための教訓がまとめられています。

稼ぐための13レッスン

その13のレッスンは、いずれも至極まっとうです。

著者は商社マンのサラリーマンとして、そして55才でレアメタル専門の商社の経営者として、その二つ経験からまさに実践を経て学んだ貴重な教訓です。

例えば、接待の重要性は認めながらも、時間効率・投資効率を考慮した上で、二次会に出ることは否定しています。そこには、しっかりとしたコスト意識があり、著者の経営にも活かされています。

また、ビジネスマンとして心掛けておくべき教訓として、「クレームを買え」というものがあります。何か問題が発生した時に、逃げずに対応することの重要性はもとより、企業・組織として、問題を恐れずに、積極的にリスクを取りにいくこと、そしてコントロールすることを説いています。

これは、商社マンという、投機を長年行ってきた著者だからこそ持つ説得力があります。

その他、新聞などの二次情報だけでなく、現場や人ととの繋がりから入手出来る情報や、人間関係の重要性など、本人の失敗談や成功経験を踏まえて書かれており、精神論的でありながら、実践的であると感じました。

著者が商社マンということもあり、とてもエネルギーのある本です。仕事に気合いを入れたい方におすすめです。

上述の通り、「二次会は出るな!」というキャッチーなタイトルですが、書かれている内容はいたって真っ当な内容です。

著者の経験が元になっているので、人によっては共感出来ないものも多いでしょうし、応用出来るものも少ないかも知れません。そうであったとしても、この著者の熱き自伝として読むだけでも元気が出てきます。

商社マンらしい、数億、数十億の取引、熾烈な交渉や詐欺など、ダイナミックなビジネスをかいまみることができます。小さくまとまるのではなく、リスクを積極的に取りに行く、というスタンスは、このマイナス成長の時代、想像しずらいかも知れませんが、こういう時代だからこそ、必要なスタンスなのかも知れません。

余談ですが、個人的に2次会に参加するのも時には必要だと考えてます。もちろん、商談という目的にはそぐわないかも知れませんが、人間関係を築く上で、この2軒目に行くかどうかというのは、フォーマルとアンフォーマルの一つの境界だと思います。

1次会が大勢の場合だと、キーマンとなかなかゆっくり話せるタイミングがない場合もあるので、2次会でキーマンを連れ出し、近場のバーなど落ち着いたところで、普段聞けない本音を聞いてみるなども良くします。

長期的な顧客との関係性構築においては2次会というのも重要な要素だと思います。

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