【不況期における転職活動】2.仕事を辞めたらすぐにやるべき2つの大事な事

キャリア・転職

前回の記事「【不況期における転職活動】1.5仕事を辞めずに転職活動すべき3つの理由」で述べたように、本来であれば、仕事を続けながら転職活動を行うのがベストですが、それでも、様々な理由により、次の当てもなく、離職せざるを得ないケースも多いと思います。解雇や、やむを得ない理由による自己都合の退職など。

「会社を辞めたらまず読む本」など、書店や図書館に行くとこの手の本は結構ありますが、その時にならないとなかなか目に入るものでもないですし、自分がその立場にならないと調べるものでもないので、知らないことが多いと思います。これらの本を読んでいただくのも、参考になるかと思います。

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ここでは、自身の経験も踏まえ、仕事を辞めてまずすること、について書いていきたいと思います。

失業給付の申請手続き

やはり、失業して一番の心配がお金のことだと思います。その点に関して、日本のセーフティネットは結構しっかりしていると感じますが、失業保険という制度があります。

これは、基本的には雇用保険に入っている方の生活保障を行うためのもの。雇用保険も給与から天引きされているので、あまり気にされていないかも知れませんが、しっかりと払った分、ここで活用しておきたいところ。

たいていは会社の総務や人事部の方から退職の際に、その後の手続きなどの説明を受けると思うので、そのあたりの事務手続きは省きますが、基本的には、離職票と写真などを持参して、現住所を管轄する最寄のハローワークに行けば、後は案内してくれます。

この申請が一日でも遅れると、せっかくの失業保険をもらえる日も、一日遅れるので、離職票を早く入手することと、離職票を入手でき次第、早くハローワークに行くことをお勧めします。小さな会社で、総務が一人とかだと、離職票の発行などが結構後回しにされがちなので、総務や人事の方とのコミュニケーションも密接に。

より詳しい情報は以下のサイトでも紹介されているので、ご参考まで

失業保険のもらいかた

失業保険給付&退職マニュアル

失業保険ガイド

会社都合と自己都合

ハローワークに行けば、すぐに失業保険がもらえると思いがちですが、失業の理由によっては受給制限というものがあり、申請後3ヶ月は受給できない場合があります。

基本的に会社都合による失業の場合はすぐに受給開始となりますが、自己都合による退職の場合は、受給制限の為3ヶ月間は支給されません。「自己都合」による失業の方が、損となりますので、自身の退職が自己都合なのか会社都合なのか、退職前に会社側と話し合っておく必要があります。

しかし、自己都合の場合でも、この受給制限にかからない場合があります。

つまり自己都合でもすぐに失業保険をもらえるケースがあるので、要チェックです。例えば、私の場合、自己都合による退職ではありましたが、会社都合により1年間に3割を超える年俸のダウンが理由で、退職をしており、この場合、退職が「正当な理由」として認められ、すぐに受給が開始されました。また、受給期間も通常3ヶ月のものが、プラス90日間の個別延長が認められるなど、おおいに得をすることが出来ました。

企業側はさまざまなデメリットもあり、「会社都合」としたがらない場合が多いですが、交渉が可能なら交渉しましょう。また自己都合の場合でも正当な理由を証明するものなどがあれば、私の場合のように特定受給資格者として認めれ、会社都合と同様の扱いになるケースもあります。

特定受給資格者(厚生労働省)

受け付けるハローワークによっても対応が異なるケースもあり、一概にはいえませんが、自己都合の場合でも特定受給者資格となれるかどうか、問い合わせてみる価値は十分あると思います。

教育訓練の申し込みはお早めに!訓練情報をハローワークで入手しよう

こちらもこの国のセーフティネットの素晴らしいところです。早く新しい職を見つけられるよう、国が新しい知識やスキルを身につけるための学校へ学費を補助して通わせてくれる制度です。

しかも、失業保険の給付期間中に、申請し、受講することが出来れば、受講期間中、失業保険の給付期間も延長するという、素晴らしい制度。

そんな素晴らしい制度なので、申込者も殺到し、それなりの競争率があり、申請しても受講出来ない場合も多いようです。また、申請時期や授業の開講時期なども決まっており、退職する時期によって、申し込むタイミングが異なってくるので、積極的に情報収集を行うことが望まれます。基本的に、ハローワークに行けば親切に情報提供してくれるでしょう。

早めに早めに情報を収集し、受講申請を行うことをお勧めします。自身も、それほど失業が長引くとは思わなかったですし、職業訓練で受けられる授業も基礎的なものが多く、あまり役立つものでもないとタカをくくり、受けるつもりはなかったのですが、失業給付が終了する間際では、手遅れ。せっかくの制度も使えませんでした。

訓練内容もさることながら、やはり給付期間が延びるという恩恵を受けるためにも積極的に受講することをお勧めします。

緊急人材育成支援事業 訓練・生活支援給付金

この緊急人材育成支援事業とは、深刻な経済危機の中で、離職を余儀なくされ、失業が長期化する懸念をうけ、新たに創設された制度。失業期間が長引くと、雇用保険・給付の期間を過ぎることが想定され、それらをカバーするための制度です。

上記の職業訓練も雇用保険を受給出来る方が基本対象となりますが、この制度では、雇用保険を受給出来ない方のために以下の二つの制度があります。

・基金訓練
・訓練・生活支援給付金&訓練・生活支援融資

厚生労働省:緊急人材育成支援事

基金訓練は、ほぼ職業訓練と同様のものだと考えてよいですが、若干訓練内容が基礎的な内容のものが多いような気がします。受講の意義はもちろんありますが、講義内容よりも、やはり基金訓練を受けることで、利用可能になる、金銭的支援が重要でしょう。特に失業期間が長期化し、失業給付の受給を終えてしまった方には必須。

ただ、こちらの基金訓練も職業訓練同様に、それなりの競争倍率があるようなので、受講コースの選定、希望する職との一貫性や志望動機書も書いて、面接もあります。転職活動を行いながら、こうした手間を厭わず出来るかが大事かと思います。

訓練・生活支援給付金&訓練・生活支援融資は、上記の基金訓練を受講出来る人だけが、利用することの出来る制度。基金訓練受講中、給付金については、世帯数によりますが、月に10万円近い金額の給付を受けることが出来、さらに足りない場合は訓練・生活支援融資という、低利の融資を受ける事も出来ます。ちなみに、基金訓練受講後6か月後までに、6か月以上の雇用が認められた場合は貸付金額の50%の返済が免除されるという優遇もあります。

ただ、この訓練・生活支援給付金&訓練・生活支援融資制度に関しては、生活支援の面が強く、申請にあたっては所得証明や資産の証明など結構なハードルがありますが、その価値はあるものと思います。

上記の制度は平成23年9月開講分をもって終了となりましたが、平成23年10月1日から「求職者支援制度」という、ほぼ同様な制度が新しく運用されています。

求職者支援制度のご案内(平成23年10月1日施行)|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/

公的な制度の積極的な情報収集と活用

こちらで紹介したのは、全て公的な制度の利用申請をしましょう、ということです。みなさんも働かれている際には、雇用保険をしっかり払われていたかと思います。また、税金も払ってきていると思うので、こうした公的制度はいざという時には活用することをお勧めします。

しかしながら、生活保護制度など悪用し不正受給する例も多く、制度申請にあたっては、審査側はそういう目で見ている事も忘れてはいけません。ハローワークにおいては、生活者を支援するというミッションを持ちながらも、こうした不正受給を防ぐ厳しい目があります

しっかりと転職活動をし、誠実に対応していれば問題ないですが、ハローワーク職員の対応には、結構イライラさせられることもあるので、スタンスとして頼るのではなく、利用するくらいのつもりで、活用していきましょう。

こちらで紹介した内容は非常に基本的なことかも知れませんが、意外とその単語自体知らないと調べようがなかったり、質問も出来なかったりするので、とっかかりとして使って頂ければと思います。

社会保険・税金関連の手続き

意外と抜けがちなのが、社会保険関連の手続きです。ハローワークで一通り説明を受けられるとは思いますが、念のため書いておきます。

まず、健康保険

企業に勤めていれば、たいていは会社の方で健康保険に加入しているものと思います。俗に社会保険と言われたりもしますが、「社会保険」という言葉の使われ方が、結構あいまいなので、注意が必要です。

企業勤めの場合は、これまで、健康保険料として給与から天引きされていたかと思いますが、退職後は、「国民健康保険」への加入を行い、自らが払っていく必要があります。

そもそも、健康保険とは何か。ちょっと調べればわかるとは思いますが、簡単に言うと、病院などにかかった際に、健康保険に加入していれば、かかった医療費の3割負担などで済むというのが、健康保険の役割です。

この連載は30代の方を想定して書いていますが、自分もそうですが、30代になると体のあちこちにもガタが出てきます。独り身ならまだしも、家族を抱える者であれば、なおさら健康は重要になってきます。その上で、健康保険に加入せずに、転職活動を進めるとどうなるか。ちょっと体調が悪くても病院にかかることが出来ない、また、仮に大きな病気や怪我をした時には、莫大な医療費がかかってしまい、本人はまだしも、家族にも大きな迷惑をかけてしまうことでしょう。

健康保険料は収入によって異なりますが、確かに退職後の無収入の際に月1万~2万の出費は痛手ではありますが、まさに転ばぬ先の杖、保険ですので、出来る限り支払っていきましょう。また、失業であることを各自治体の窓口で相談することで、支払いを一時的に遅らせながら、健康保険に加入することも可能です。特段、滞納金なども加算されないので、転職活動の期間中だけでも減額のお願いをしてみると良いでしょう。この不景気で同様の方も多いのか、各自治体でも理解してもらいやすいです。また、自治体側としても、未納の状態よりは、いくらかでも回収出来ることが望ましいようです。

続いて年金

企業勤めの際には、厚生年金に加入していたかと思いますが、退職後は基本的には国民年金へ加入することになります。切り替えの手続きも必要なので、しっかり行いましょう。

30代、僕らの世代にとって、将来はたして年金が支払われるのかどうか、あまり期待もされていないでしょうが、それでも、企業勤めの際には半強制的に徴収されているわけで、失業期間中に支払わなかったというだけで、受給資格を失ったり、受給金額が減ったりしてしまうのも、非常にもったいない話だと思います。

もちろん、失業期間中の年金の出費もかなりのもので、出来れば支払いたくないものです。ただ、こちらも、減額ということはないですが、支払いを待ってもらうこと(猶予)や、届けだした上で、免除してもらうことも可能です。意外と、この辺りが抜けていて、将来的に損をする方も多いらしいので、ぜひ、検討してみてください。

そして、住民税

なぜに収入もないのに税金を払わないといけないのかと、非常に納得がいかない部分ではありますが、前年度の収入に合わせて徴収されるものなので、そこは、あきらめましょう。

しかし、こちらも請求が来ると、かなり額の大きさにびっくりすると思います。サラリーマンとして、給与天引きで毎月支払っていると、感覚的に麻痺してくる部分ではありますが、自治体から住民税の納付書が届くと、基本的には3カ月分まとめて支払うようになっており、3か月分というと、かなり額になるわけです。

こちらは残念ながら、健康保険や年金のように、免除も猶予もありません。支払わなければ、滞納金が発生します。これは年利15%程度と、テレビでやっている消費者金融とほぼ同等の金利が発生します

これは自身のケースですが、私も特に貯蓄があるわけでもなく失業したため、上記の社会保険料(健康保険・年金)の支払いは厳しかったですし、住民税も重くのしかかっていました。そこで、役所に相談したところ、上記にあるように、健康保険の減額や、年金の猶予申請などを勧められ、何よりもまず住民税の支払いを優先することを教えてもらいました。

健康保険、年金、住民税。いずれもサラリーマン時代は給与天引きで、払わなければならないものではありましたが、その中でも優先順位があるということに気付かされたのは、失業してのひとつの発見でした。

「仕事を辞めてまずすること」として、こうした、生活をしていく上での、固定費の部分をしっかりとつぶしておくことが重要です。短期決戦で、すぐ決められると考え、こうした手続きをしっかりと踏まない方もいらっしゃるかと思いますが、今回のテーマでもある、不況期における転職においては、そうした油断は禁物です。

失業期間中の出費を出来るだけ少なくし、公的なセーフティネットでまかなえる部分はしっかり確保していく。これだけでも、転職活動を行っている際の精神的な負担を軽くすることができるものと思います。

【不況期における転職活動】

はじめに

1.現在の転職市場について

1.5 仕事を辞めずに転職活動すべき3つの理由

2.仕事を辞めたらすぐにやるべき2つの大事な事

3.不況期における転職活動を進める上での心構え

4.不況業界からのキャリアチェンジ

5.生活基盤の維持

6.転職活動の方法
6-1.応募

6-2.企業分析

6-3.自己分析

6-4.応募書類(履歴書/職務経歴書/志望動機書)

6-5.面接対策

7.転職活動以外の時間活用

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