【書評】なりたい自分になるシンプルな方法 「一冊の手帳で夢は必ずかなう」(かんき出版)熊谷正寿

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みなさんはGMOという企業グループをご存知でしょうか。

1991年に設立し、90年後半から2000年にかけて、InterQなどのインターネット関連事業を展開。現在は東証一部上場、従業員3,152人(2013年2月6日時点)、売上744億円の大企業です。

GMOインターネット株式会社 https://www.gmo.jp/

本書「一冊の手帳で夢は必ずかなう」は、そのGMOを設立し、現在も代表取締役の熊谷氏による手帳活用術兼熊谷氏の仕事術の本です。

手帳活用ブーム。手帳本が乱売される中、本書の特徴は。

本書は2004年に出版されたもので、当時、新社会人として仕事のやり方などいろいろと模索している中で手に取った本です。いつの時代でも繰り返しているのでしょうが、手帳活用ブームだったのか、この手の本が書店にたくさん並んでいたのを覚えています。

そんな中で、本書が説得力を持った内容であったのは、上述の通り、著者熊谷氏自身が実践し、夢を実現させてきた内容だからです。もちろん、だから、誰でも「必ず」成功出来るという訳ではないですが、実績のある方法であれば、試してみない手はないかと思います。

夢を手帳に書き込み、いつも持ち歩き、見直す事で夢がかなう

本書の主張はいたって単純で、まず夢を具体化すること、そして具体化した夢を15年先まで記した「未来年表」にまとめること。夢に期限を設け、それまでに何をすべきかを明確にすること。そして、それらを常に手帳に入れて持ち運び、進捗を確認すること。以上。

「えっ?それだけ?」と思われるかも知れませんが、おそらく大半の人はこんな単純な事さえしてないのではないでしょうか。

本書では、著者が実際に作り出した、夢の具体化の方法や、未来年表の作り方なども図解して説明されているので、すぐに自分で作ることが出来ます。

「夢がなければ夢はかなえられない」夢の具体化の方法

いたって当然で、夢をかなえるためには、「夢」がなければなりません。その夢の具体化の方法も本書で紹介されています。まずは、思いつくままにやりたいことを挙げて「やりたいことリスト」を作り上げます。

次にやりたいことを「夢・人生ピラミッド」と呼ばれるカテゴライズにより分類します。これは、夢が極端に偏らないようにするためのバランスを取るために使用します。分類は以下の通り。

ピラミッドの上層から順番に
[結果レベル]経済・モノ・お金
[実現レベル]プライベート・家庭/社会・仕事
[基礎レベル]教養・知識/健康/心・精神

さらに、上記で分類した「やりたいこと」を15年先まで記す「未来年表」にマッピングしていきます。ここでポイントは、現状のステータスについても明確にし、「やりたいこと・ありたい状況」とのギャップを正確に把握する事にあると言います。例えば、「英語を修得したい」という目標に対して、具体的にTOEIC900点とするならば、現状が600点ならば、ギャップが300点、とか、まだ受けた事がないのであれば、まずは受験する。など、今の自身の現状を把握しなければ、未来もぼやけてしまうと言います。

上記で掲げた目標と、夢へのギャップと、それを埋めるための具体的なアクションを決めて、手帳のさらに詳細なスケジュールに落とし込んでいきます。

著者熊谷氏は、実際にこの方法で、21歳の時に書いた35歳で会社を上場させるという目標を、35歳と1か月の時に、見事実現させています。

ちなみに、2004年に出版された本書の最後には2009年に1,000億円の売上を達成するとの目標が記されておりましたが、2009年時は382億円、2012年744億円という結果のようです。目標の期限には達成出来ておりませんが、それでも、このスピードで成長しているのを見ると、驚きです。

後半は、著者の仕事術や経営についての内容で、もちろんこれらも参考になるものがたくさんありましたが、本書の要旨は前半と言えるでしょう。

気付けば、10年近く前の本になってしまっていますが、本書に紹介されている原則のようなものは大きくは変わりません。4月の新年度に向けて手帳を新調される方や、新社会人の方で、ビジネス向けの手帳を選んでいる方、手帳の使い方の一つとして本書を参考にしてみてはいかがでしょうか。

本を買って満足してしまう。その前に

本書は、それなりに売れたようで、bookoffなどでも良く見ます。自分もブックオフで当時買ったようです。自己啓発系の本によくありがちなのが、読んで満足してしまうということ。本書も、やるべきことは比較的簡単であるにも関わらず、おそらく多く人が実際に手を動かしてはいないのではないでしょうか?

というのも、自身が当時それほど本気で取り組んでいなかったから。確か、年表等は作ってはみたものの、おそらくそのあと見直すこともなく、どこかに消えてしまいました。

今、社会人生活10年目を迎えるにあたって、初心を思い出そうと、こうした過去の本を読み直してみたりしています。10年前に掲げた目標が、果たしてどれだけ出来ているだろうかと。10年間あれば、人間何かしらやり遂げられたのではないかと思うのです。

今現在33歳。30代をどう過ごすか。今一度、15年。少なくても10年年表くらいは、作っておきたいと思いました。

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