「リスクのない(低い)人生」を歩むために必要なこと。

キャリア・転職

最近見かけた某掲示板の書き込みで以下のよう書き込みがありました。最近、自分が悶々と考えてることに関連して、考えさせられてしまいました。

「努力」というものを否定し続けて早10年…ついに俺にもその時が来た!!

30代童貞日雇い派遣クビ&親(母一人)が死にそう

2ちゃんねる初期から努力を否定し続けて
リスクがない生活を送り続けてきた
最初はVIP、最近は市況版や借金生活、ニュース速報などで
夢を追い、失敗した人を嘲笑っていた
リスクをとらず努力しないことこそが、勝ちであると思っていた
そんな俺にもついにきた、詰んでると言う状況が
馬鹿な、努力しないことは成功もないがリスクもない
そうだったはずなのに…
ばかな…………………………………

という、スレ主に対して、以下のような書き込みとやり取りがなされていました。

10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10 /07(日) 16:58:42.64 ID:CAsaG3qJ0
日雇派遣がリスクないとか・・・・
むしろ人生のリスクにしかならんだろ

13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10 /07(日) 16:59:33.06 ID:Off9s21u0
てかどこをどう解釈したら日雇い派遣で生活することが
リスクのない生活だと思えるんだろう……

>>45
倉庫は年齢と免許がないから全て拒否られた
コンビニかやってみるしかないな
ああ…くそ…完全にリスクのない生活がしたい

54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10 /07(日) 17:22:05.67 ID:EH3AiRbT0
お前の言うリスクがようわからん
失敗して人に嫌われたり蔑まれるのがリスクなの?
それとも難しい仕事を任されることがリスク?

59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10 /07(日) 17:24:21.15 ID:dmclILi7O
>>54
自営業とかさ、クリエーターとかさ
失敗するリスクがあるじゃん
そういうのがすごく嫌いなんだよ

65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10 /07(日) 17:30:15.39 ID:EH3AiRbT0
>>59
失敗したからって全部無駄になるわけじゃないぞ
自営業なら経営のノウハウやら
クリエイターなら技術と鍛えた創造力が残る
出来るときにやっとかないと何も残らない

推測ですが、スレ主はリスクを「挑戦しないこと≒失敗しないこと」と捉えていたようです。
それに対する書き込みはいずれももっともで、スレ主も徐々に理解はしていったようです。

変化の激しい時代と良く言われますが、今はその変化もどちらかと言えばネガティブな局面が強調されています。そんな時、「リスクのない人生」を望む人は多いのではないでしょうか。

では、「リスクのない人生」とはなんでしょうか。

例えば、不景気になると人気なる仕事があります。公務員です。安定していると言われる公務員になれば、リスクのない人生を送れるのでしょうか?

確かに、民間に比べれば簡単に解雇されたり、大幅に給与が下がったりする可能性も低いでしょうし、組織自体が潰れる可能性も低いと考えられるため、経済的なリスクは小さいでしょう。

ここで「経済的」と、限定したように、リスクにもいろいろな視点があります。

例えば、地方公務員で、その土地から離れて働くことが困難な場合、あなたの配偶者が、なんらかの理由で(仕事がある、生活環境が気に入らない、子育て環境として望ましくないと考えているなど)、その土地で暮らすことを拒否したらどうでしょう?

また、今時点では、安定性や自身の志向からも公務員という働き方が合っていると思っても、数年後、あなたが何か他にやりたい事が出来た時、公務員というキャリアからの転換は可能でしょうか?

これは民間の大企業でも同様です。

あなたが「潰れないし、解雇はないし、給料も大きくは下がらない」と考えていても、今の日本の大手製造業や金融機関などが苦境に立たされているように、中長期的にその組織がどうなるか、予想することは非常に困難です。

また、大企業の非常に効率的に組織化されて、機能分化した中で、一つの業務だけをやっていたとして、企業がその事業や業務から撤退やアウトソースすることになったり、単純に職場の人間関係がどうしてもうまくいかない等があった時、配置転換や転職が可能なのか。

住宅ローンなども組んで、クルマを持って、一定の固定費があって、給与が大幅に下がるような局面になった際、どんな対処が出来るのか。

残念ながら、世の中「絶対」ということはなく、「確からしい」「可能性が高い」と思われることを信じていくしかないわけですが、万が一その想定がくずれた時に対応出来るかどうかが、リスクが低い、リスクをコントロール出来ている人生ではないかと思います。

どんなに準備しても、東日本大震災の津波や原発事故のように想定外の事態は起こり得ます。限られた資源・時間で全てに対処することは不可能です。ただ、だからと言って、一つのことを安全、安定と信じて、いざと言う時の準備を怠ることほどリスクの高いことはないでしょう。

投資の世界の有名な格言で

「卵は一つの巣に入れるな」

という言葉があります。

これは一つの巣に全ての卵を入れておくと、巣が落ちたり、敵に襲われた際に卵が全滅してしまうのと同様に、例え儲かりそうだと考えても、投資資金を一つの投資先に注ぎ込んでしまうと、読みが外れた際に破産してしまうため、分散投資を行うことを促す言葉です。

まさにリスクコントロールを端的に現した言葉で、人生やキャリアも同様の事が言えるのではないでしょうか。

リスクを低減させる事は変化しない事ではなく、変化への適応力を高める

組織に依存してしてしまうと、その依存度が高ければ高い程、自分でコントロールできない事が多くなり、リスクの増大に繋がります。自分自身の能力や時間をひとつの組織やひとつの業務のみに費やすことが果たしてどの程度のリスクになるかを意識出来ているでしょうか。

昨今は組織に依存しない、ノマドワーカーと呼ばれる働き方も注目されています。ノマドワーカー自体がリスクの低い働き方かというと、おそらく企業に属するよりも、変化の幅は大きいでしょう。ある年は順調に仕事入って大きな収入を得られるかも知れませんが、その翌年も同じような仕事で同じように稼げるかは、その人次第です。一般的な大企業ではそこまでドラスティックな変化はそうそうないでしょう。

完全に個人の裁量によるかと思いますが、そうした変化に柔軟に対応出来るのがノマドという働き方ではないでしょうか。そうした変化がある前提で、仕事をし、仕事を作り、自身の能力を高めていく。そんな働き方が求められるわけです。

大企業や公務員に勤める事が悪いわけでも、ノマドや起業が素晴らしいというわけではなく、後者の人種はもちろんですが、前者のように安定している思われている組織に属している人間であっても、常に変化を意識して、心構えをしておくことが「リスクの少ない人生」につながるのではないでしょうか。

今回は、キャリアにおけるリスクの考え方について自分なりに整理してみました。少し長くなったので、最近の自分の思いについては別途書いてみたいと思います。

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