【書評】『お金を稼ぐ勉強法』は年収2000万円を実現するためのアウトプットを意識したビジネスマンに最適な勉強法

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本書は「週末起業」を提唱した経営コンサルタント藤井孝一氏による、ビジネスマンにとって、有効な勉強方法について紹介した本です。

依然として先行き不透明な経済環境の中、会社に頼らずに食べていこうと、勉強されるビジネスマンが増えてきていますが、それが果たして「稼ぐ力」を意識した勉強となっているかということを問題提起しています。つまり、

「勉強したことを生かす(アウトプット)」こと抜きにビジネスマンの勉強を語ることは出来ません。(中略)つまり、やりたいことを勉強するのではなく、「生かせることを勉強する」。

ことが大切であると説いています。

本書では、まず最初にアウトプットを意識した勉強とは何か、そしてなぜそれが重要なのか、著者自身の体験や、実際に勉強したことから独立してビジネスを立ち上げた人間の事例を踏まえて紹介しています。

「お金にならない勉強はするな」と題し、単なる資格マニアにならない事や、学びながら稼げる仕組みを考えること、勉強仲間をつくることなど、勉強を行っていく上で、心構えを説いています。

本書の帯には「年収2000万円以上を実現する勉強法」という魅力的な言葉が添えられています。勉強をする上での目的やテーマを持つことから始める必要があり、その際の目標を大きい方が良いと言います。稼ぐことが目的なので、「いつまでにいくら稼ぐのか」を明確にする事、そして、勉強のために必要な時間という投資を計画的に行うこと、勉強道具や参考書などにも積極的に自己投資することを推奨しています。

上記、インプットする方法ですが、本書はアウトプットすることを重視していますので、当然アウトプット方法についても紹介されています。それは、このブログのように、学んだことをブログで公開したり、メルマガやSNSでネットワークを作ったり、勉強会に参加・開催してみたり、勉強途中であっても、「専門家」を名乗ることで、仕事やお手伝いをしながら、さらに学びを高めていくことが出来ると言います。

学生時代の勉強にしても、勉強が出来る人というのは、頭の良し悪しもさることながら、勉強法そのものが違っていたりします。ビジネスマンにおいても、さらに時間が限られている中、より効率的な勉強法を知っておくことで、知らない場合とで、数倍の差がついてしまうでしょう。

今の仕事に不満がある、より向上心を持って仕事をしていきたい、新しい仕事をやっていきたいと考えている方で、勉強をしようと考えている方は、一度その勉強自体が果たして目的に沿っているのか、また、勉強方法自体が効率的なのかを問うてみてはいかがでしょうか。本書はそんな方の参考になるかと思います。

アウトプットを意識した勉強

学生時代は勉強なんて、好き好んでやるわけでもなかったのに、不思議なもので、社会人になると急に勉強欲求が高まってきたりします。中には、わざわざお金を払って、場合によっては、借金してまで学生に戻る人もいます。

それは、やはり実際の社会の場でそうした能力や知識が求められる、もしくはそうした知識を持っていれば良かったと思うことが多いからではないでしょうか。

求められて勉強する、困った状態になることで身につく事というのは確かに多いでしょう。英語もなんとなく勉強していると、長期間経ってもなかなか身に付きませんが、海外留学や転勤などで、英語を使わないといけない場になれば、自然と身につけられるものです。

必要になってから勉強するという方法もなくはないですが、よりプロアクティブに、本書では自身のキャリアの目標に向けて、アウトプットを意識した勉強を推奨しています。

ただ、そのキャリアの目標に向けて、どういった勉強が必要なのかというのが実は分かりにくいといった課題があり、それについは残念ながら本書にも答えはありませんでした。実は勉強を進める上では、非常に重要な事で、「この勉強を続けていて良いのか」といった疑問にぶち当たることもしばしば あります。本書でも、その問いは定期的に自問自答すべきであると言っています。

変化の激しい今、この勉強だけをしていれば大丈夫ということは、確実に言える訳はないので、そこを自身の指向や、市場環境、労働市場の状況を踏まえつつ、調整していく必要があるのでしょう。

中小企業診断士の資格を勉強した自分の場合

勉強というと、すぐに資格などが思い浮かぶかも知れませんが、資格は、確かに体系的に勉強する上で有用ですし、一つのマイルストーンになるので良いと思いますが、資格にこだわる必要はないかと思います。

自身も、社会人2年目の時、中小企業診断士の資格の勉強をしていました。それは、経営にまつわる幅広い知識を身につけることで、仕事にも役立つと考えていたことと、コンサルタントへの転職を考えており、そのための武器になるかと考え勉強していました。

残念ながら、資格取得には至りませんでしたが、結果的にはコンサルタントという職に就く事も出来、資格勉強の中で身につけた知識は非常に役に立ちました。今はコンサルファームで働いてはいませんが、今でも、マーケティングや財務・会計、組織・人事、経営にまつわる知識は、仕事に取り組む際の視点に大きく役立っています。

アウトプットを意識した読書術への好循環

その他にも、仕事上必要となって勉強した事は結構あります。

例えば、マーケティングについても、中小企業診断士の勉強だけでは当然浅いため、コトラーを始めとするマーケティング関連の書籍やデイビッド・A・アーカー等のブランド関連の書籍を何冊も読んだり、人事にまつわるコンサルティング業務があれば、そのテーマの本を数冊まとめて買ってみたり、クライアントの業種・業態にまつわる事例書籍を読んでみたり。実際の仕事に使う事を意識して読むと、本を読む中でも必要なところだけがすっと頭に入ってきます。

自身で何が必要かを理解して勉強することで、より効率的な勉強につながるという循環が出来上がるのだと思います。

ブログでも書評を長く書いてきていますが、やはりブログで紹介しようと思って読むことで、本を読みながら自身の頭の中で、構造化して考えたり、実体験に重ね合わせることで、反対意見や仮説が新たに生まれることもあり、より有意義な読書になっていると感じます。

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