不況期に転職活動を進める上で、この連載の中でも何度も言及していますが、やはり「長期化」のリスクを認識しておくことが必要だと思います。
もちろん、不況期だからと言って、求人が全くないわけではなく、特にリーマンショック崩壊以降の2010年末~2011年始めにかけて、徐々に求人数は増えてきたような印象も受けます。また、決まる時は決まりますし、決まる人は決まります。また、コネや紹介などがあれば、積極的に活用して、すぐに決まる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、それでもなお、企業側が積極的に求人を行っているわけではない事を考えると、そうしたピンポイントで自身のやりたい事、出来る事、そして、企業が求める人材像に当てはまる、タイミングも含めて、マッチする可能性というのは、決して高くないです。
それは、優秀な人、綺麗な経歴を持っている方であっても同様です。逆に優秀過ぎてオーバースペックな人間はいらない、なんてこともあります。
そんな状況も踏まえて、必要な心構えについて、自身の経験も踏まえて書いていきます。
不採用の結果を思い悩み過ぎない
これは長期化する事も前提に書いてますが、通常でも転職活動は3カ月程度はかかるもの。また、前述の通り、ピンポイントでの求人傾向となるため、何社もの会社から不採用の通知を受けることもあるでしょう。
転職活動開始当初は、不採用通知の一つ一つに結構凹んだりすることもありますが、数字で考えてみると、そう悲観する必要もありません。
自身が転職エージェントから聞いた話しでは、書類選考の通過率は2割程度と言われました。10社出して2社。さらに、採用までこぎつけるには100社書類を出して1社くらいの割合だと言います。つまり、内定を得られる確率は1%です。
いかがでしょうか?既に活動されていらっしゃる方もいるかと思いますが、10社、20社書類応募しただけで、あきらめてはいませんか?そこは前向きにいきましょう。転職活動はよく「自分を売り込むための営業活動」だと言われます。所謂「飛び込み営業」のようなものです。
採用書類というパンフレットを企業へ送り、面接という名のプレゼンの機会をもらい、自分自身を売り込んでいく活動です。営業をされてた方にとっては、こうした飛び込み営業的な活動は、技術的にも、心理的にも難しくないでしょう。断られる事に慣れていないと、一回一回、気持ちが落ち込むことは誰にでもあります。
特に初めての転職活動で、面接で落とされると、これまでの経歴を含めて人格まで否定されたような気になってしまい、落ち込んでしまうこともあるでしょうが、何度も言いますが、この不況期における転職活動においては、求人はピンポイントです。マッチするかしないか。それだけの話しであって、必要以上に落ち込む必要はありません。
営業をした事がない方にとっては、少しハードルがあるかも知れませんが、1%の可能性です。断られて当たり前だと考えれば、それほど落ち込まなくても済むのではないでしょうか。かくいう自分も、書類を出した数は200社近く。書類通過率は良い方で、25%くらいですが、内定が出たのは2社。まさに1%です。ちなみに最終面接まで行ったのは5社くらいです。
詳しい転職活動の経緯は、【不況期における転職活動】1.5仕事を辞めずに転職活動すべき3つの理由で書いたので、そちらを参考にしていただければと思います。
これは、自分を棚に上げる訳ではありませんが、景気の影響というには非常に大きいです。環境のせいにせず、全て自責で考えるのは、それはそれで素晴らしい事ではありますが、あまりに思いつめないことも、精神衛生上大切です。もちろん、採用試験での敗因を考え、分析することは必要ですが、思い悩まず、次への挑戦をあきらめずに行っていくことが大切です。
スケジュール感を持って行動しよう
前述で、転職活動は営業活動と同様であると述べましたが、長期間に渡ることも考えると、しっかりとスケジュール感を持って行っていくことが重要です。
まず、働きながら転職活動を行う場合ですが、当然業務時間中は転職活動を行うことが出来ないため、終業後及び週末の時間を使うことになります。限られた時間で効率的な転職活動を行っていく必要があります。家族のいる方にとっては、ますます時間の確保が難しいところでしょう。その意味でも、家族がいる方にとって、転職を行う際には家族への理解が必要です。
転職活動は、目標である転職先が決まるまで、際限のない活動でもあります。「何時~何時まで転職活動に割く」など、しっかりと時間管理を行ってやっていくことが、家族への理解にも繋がりますし、自分自身のバランスを取ることにもなります。
この時間管理は、仕事を辞めて転職活動をする方にとっても非常に重要になってきます。
仕事を辞めていれば、時間はいくらでもあると感じてしまいます。確かに、圧倒的に多くの時間を転職活動に割くことが出来ます。しかし、逆に言えば、いくらでも転職活動が出来てしまう、際限がないのです。しかし、正直、根を詰め過ぎると、周りが見えなくなってきてしまいます。
そのため、ある程度時間を決めて活動することをお勧めします。では、1日のうち何時間くらい転職活動に費やすべきか。個人的には、通常の就業時間並みには費やしてしかるべきではないかと考えています。8時間程度です。
応募しようすると企業のリストアップ、企業分析、自己分析、書類の作成、面接があれば面接など。短期間で決めたいのならば、活動開始当初は、これらをパワーをかけてやっていくことも考えられますが、起きている間中やっているとまいってしまします。
また、生活リズム、健康管理という観点からも、普通の職業人と同様の生活を行っていくことも、職場復帰を図っていくことを考えると重要です。仕事を辞めてしばらくは、まるで毎日が休日のように、昼ごろ起きて、「笑っていいとも」を見たりしてしまいがちですが、だらけた生活をしていると、精神的にもだれてきます。
自身の行っていたスケジュールで言うと、午前中は企業リストアップ・分析を行い、午後に応募書類となる志望動機書や、自己PRなどを個別企業向けに作成し、応募していました。夜は夜で、翌日に面接などがあれば、面接対策を行いながら、イメージトレーニングを行う程度です。
また、週末は出来るだけ出掛けるようにもしました。もちろん、各種活動を行えば、それだけ活動量を増やすことになりますが、長続きしません。また、社会から離れてしまうのも、危険でしょう。ビジネス書はもちろん、小説なども読みましたし、映画なども結構見てました。
一日中、転職活動のことを考えていると気が滅入ることもあるでしょう。こうした気晴らしも行いながら、スケジュール感を持って活動していくことが、特に長期化するような場合には、重要であると思います。
転職活動中にゴールを調整するための「擦り合わせ≒妥協」も必要
転職活動を始めた当初は、おそらく次の新たな可能性に向けて、「こんなこともしてみたい」「これまでの経験を活かしていきたい」「収入をアップさせたい」「職場環境の良いところで働きたい」など、様々な理想を掲げていると思います。もちろん、自身の望む仕事を見つけることが転職活動においては、大切なことは言うまでもないので、明確にこうした目標を持つのは良いことです。
しかし、この不況期においては、転職活動も望むような結果にはならないこともしばしばです。最初の頃は、条件が合わずに内定をもらっても断っていたものが、そのうち内定すら出なくなってしまうなんてこともあります。
そんな時には、妥協と言えば妥協かも知れませんが、労働市場と自身の希望との擦り合わせを行っていくことも必要です。例えば、年収面に関しては、業界が違えばかなり異なりますし、企業の成長段階によっても異なりますが、やはり不況期において年収アップを目指すのは難しいかも知れません。また、希望の職種・業界で働けるとも限りません。
しかし、そうした求人とマッチしない余りに、長期間転職活動を続けていると、離職期間の長さがネックとなり、より転職が難しくなる可能性もあります。
ただ、「お金を稼げれば良い」「生活が出来れば良い」というような追い込まれた状態になると、正直仕事を選ぶことすら出来ない、と言うか、選ばないようになってくることもあります。しかし、解雇ややむを得ない事情で辞めたのでなければ、やはり前職においては、不満だった側面を解消出来る条件だけは、譲らないことは必要です。なぜなら、また同じ理由で転職活動をする羽目になるからです。
自身の場合は以前の職場の労働環境と収入面、企業の安定性・成長性を含めて、全てに不満というか、不安を感じていたのが、転職の理由です。今回の転職では収入面ではアップ、企業の安定性においては全く問題のない企業に勤めることが出来ました。
しかし、待遇としては、契約社員という不安定な身分ですし、仕事も広告代理店における営業職です。果たして次のステップにどうつなげられるのか、という点においては、正直不安な点が否めません。それでも、家族を養っていくこと、離職期間の長期化を避けたこと、そして、不安定な身分とは言え、それなりの会社で経験を積むことで次につなげられる環境は少なくともあるのではないかと判断し、転職を決意しました。
転職活動当初はあまり想定していなかった、業界・職種ですし、契約社員なんて有り得ないと思っていましたが、転職活動を進めるにつれて、徐々に条件面での擦り合わせを行った結果、こうなりました。妥協の産物と言われば、それまでですが、一応納得はしています。
転職活動が長期化すればするほど、「ここまでやったのだから、この条件を満たしているところへ」などと、逆に条件を高めてしまったり、譲れなくなってしまう心理もありますが、実際に転職活動で面接などを行いながら、市場における人材ニーズを直接肌で感じ取れば、擦り合わせの必要性には気付かされると思います。
もちろん、逆に自分がより高く売れる、こんな業界・職種でもっと売れるのではないか、と気付くこともあると思うので、高めに調整していくことも可能です。
このあたりは自己分析の中で向き合っていくことになるかと思います。転職にあたって譲れない条件、譲れる条件を考えて、自身の市場でのポジションを意識しながら、売りどころを分析していきましょう。
まとめ
上述したことは、特段不況期だから、というわけではなく、転職活動においては、いずれにおいても必要になる心構えだとは思いますが、特にこの不況期において重要だと思う点を挙げさせていただきました。とりとめのない感じになってしまいましたが、思っていた以上に長文になってしまったので、このあたりでいったん区切らせていただきます。また、思いついたら追記していきたいと思います。
【不況期における転職活動】
3.不況期における転職活動を進める上での心構え
4.不況業界からのキャリアチェンジ
5.生活基盤の維持
6.転職活動の方法
6-1.応募
6-2.企業分析
6-3.自己分析
6-4.応募書類(履歴書/職務経歴書/志望動機書)
6-5.面接対策
7.転職活動以外の時間活用
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