「責任」と「権限」が一致しない場合の仕事術 ボス・マネジメント

ビジネススキル

サラリーマンという組織に属した働き方をしている以上、自身のやりたい仕事だけをえり好みして行うのは難しいでしょう。時にはやりたくもない仕事、面倒な仕事などを押し付けられることもあるでしょう。

往々にして、そうした仕事は「責任」「権限」が一致しない場合が多いように思います。やるべき、やらなければいけないという「責任」だけ押し付けられつつ、それを行う上での「権限」が与えられない事って多くないでしょうか?組織としてやるべき仕事のため、基本的には組織の長がその責任・権限を持って行うのが妥当でしょうが、その仕事は組織の配下の人間に割り当てられます。

もちろん、最終的な「責任」は組織長や上司が負う事になるのですが、その仕事を行う上での「権限」を持たない部下が実際に仕事をしようとすると、様々なハードルが待ち構えています。

個人で完結する仕事ならまだしも、組織内及び組織をまたがった仕事となると、この「権限」が非常に重要になってきます。人を動かす上での「権限」が与えられない状態というのは手足をしばられて働くようなものです。

しかしながら、サラリーマン社会においては、往々にて上記のような状況が起こりがちです。

組織で働くビジネスパーソンにとって必要なボスマネジメント・コントロール

不合理かもしれませんが、そんな不合理な状況で、仕事をこなすことも、デキるサラリーマン、ビジネスパーソンになる上では必要な能力です。

では、どんな仕事術が必要になるかというと、「権限」を持っている人を動かすという方法です。ここでいうと組織長や上司です。彼らは最終的な「責任」を負うため、助力を求めれば、ああだこうだと言いながらも力を貸してくれるでしょうし、仮に力を貸してくれなかったとしても、相談しておくことで、あなた自身のリスクを軽減することが出来ます。

大企業ならではの、面倒な使い勝手の悪い能力と思われるかも知れませんが、こうした上の人間を動かして、物事を進めていく術というのは、個人事業主であろうと、起業家・経営者であろうと、必要な能力だと考えます。

サラリーマンと違って、彼らは自己責任という名のもとに「権限」と「責任」を全て有しているように思われます。もちろん、個人対個人や小さな組織であれば、そうした苦労はしなくても良いかも知れませんが、仕入先や取引先、クライアントのその先のお客様や、クライアントの組織の中の人達を動かそうとした時に、誰に何を言わせるのか、というのは仕事をスムーズに進める上で、その影響力を考えると、成果は大きくことなるでしょう。

今の自身の会社も大企業特有の縦割りの弊害もあり、組織をまたいだ仕事を進めるのには非常にパワーを必要とします。しかし、それも1つレイヤーを上げることで、一気に転がしたりすることが良くあります。

また、以前コンサルタントとして、クライアントの行動変革を促す時にも、コンサルタントから発案するのではなく、いかに組織の長や、その組織の中で影響力のある人に動いてもらうかが、組織の変革に重要であることを学びました。

「責任」だけ押し付けられ、上の人間から責められるというのは非常にストレスフルな仕事ではありますが、逆に言えば、その「責任」を傘に上の人間や、組織を動かす事も出来ると考えると、実は良い経験の出来る仕事ではないかと思います。

ただ、それでもやはり仕事における「権限」と「責任」は明確に一致させるべき

個人の視点で言えば、上記のようなメリットもなくはないですが、今のビジネスのスピード感を考えると、組織としては、決して望ましい状態とは言えないでしょう。

例えば、より大きな組織的な視点での課題を考えると、企業においては経営企画室や経営企画部という組織が、経営・事業戦略の立案や経営管理を行う「権限」は持っているものの、その計画に対する売上・利益の「責任」自体は各事業部が負う事がほとんどです。

「権限」を持っている方は、「責任」を負わないので、当然無責任な計画を立ち上げ、「責任」を負う事業部門もまた、自身の立てたわけでもない計画に対して、達成意欲などがわくはずもなく、押し付けの目標設定となったりします。

日本の組織においては、あえて上記のような「責任」の所在を曖昧にする事で、集団を守ってきたようなところがあるかと思います。個人としては、その方が守られている部分は多いでしょうが、ビジネスのスピードが高まっている今、「権限」と「責任」の一致によって、素早いトライ&エラーを回していくことが必要になってくるように思います。

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