【書評】「仕事心の育て方 ビジネスで人生でひと花咲かせたいあなたへ」渋井真帆(小学館)

キャリア

「仕事」とは何か?「仕事」の意義とは?

学校を卒業して、初めて社会に出て、仕事を通じて社会に対し、どんな価値が提供出来るか、そして、自分はどんな成長が出来るのか。そんな期待に満ちた新社会人も、半年、1年も経つと様々な事が見えてきて、仕事の意味を見失ってしまう。多くのビジネスマンが通過する課題です。

本書は、そんな悩みを抱える主人公ケンの元に仕事の神様がやってきて、仕事に取り組む上で大事な25の心構えを紹介していきます。

正解はない。自問自答し続けること。

本書では、仕事は「給料を稼ぐための苦痛なもの」ではなく、「人生の大半の時間を占めるものであり、仕事を通じて人生を謳歌すべきである」という考えにたっています。そのため、仕事のみならず、人生における教訓も多く含まれています。

では、そんな仕事心を育てるための心構えとは、例えば、仕事とはそもそも何かを問い直して考えた時、それは「社会との関わり合い」であり、社会に対してどんな価値を提供していくか、自問自答することであると言います。

自分らしい仕事をしたい、なんて思うようになるのも入社2、3年目。でも、自分らしい仕事があるわけではなく、目の前の仕事に対して、自分の意志を吹き込んでいくことが、唯一、自分らしい仕事に出会うための方法であると解きます。

他にも、困難や壁にぶち当たった時に、それをどう捉えるか、ミスやクレームにどう対処すべきか、社内での立ち位振る舞い、上司との関係性など、いずれも、捉え方次第では、単なる苦痛になることでも、心構えが異なれば、それらはいずれも自身を成長させるものに変わります。

この春、就職氷河期を乗りきった新入社員の方々にはまだ不要かも知れませんが、ふと、立ち止まって仕事の意味を考えるようになった時、手にとってみてはいかがでしょうか。また、3、4~10年目くらいの新入社員の面倒をみていく中堅社員の方も、自分が既に仕事に対してくさってしまうのではなく、今一度、仕事の意味を問い直し、若手に伝えていくためにも、読んでみてはいかがでしょうか。

仕事心の育て方 ビジネスで人生でひと花咲かせたいあなたへ
仕事心の育て方 ビジネスで人生でひと花咲かせたいあなたへ

青臭いかも知れませんが、自分もまた、「仕事ってなんだろう」「自分のしている仕事っていったいなんの意味があるのだろう」「もっと自分らしい仕事がしたい」なんて、悩みを社会人2年目くらいの頃に抱えていました。

今は、いずれの悩みについても、自分なりの答えを見つけていますが、当時は目の前の仕事を深く考えることもなく、そこではないどこかに答えを探してさ迷っていました。

本書で紹介されるような仕事心というのは、昔は上司や先輩が、背中で見せたり、飲みの場で語る事で、伝えられてきたのかもしれませんが、現在のような低成長時代、不景気の中で、既に働いている先輩方もまた、仕事の意味を模索している時代に来ているのだと思います。

一律の答えがあるわけではないですが、手っ取り早く目の前にある答え、
例えば「給料のため」のような安易な答えに飛び付いてしまうのはもったいないと思います。それ以上の成長は望めないでしょう。

自問自答を繰り返しながら、自分の答えを見つけ、時にはそれが間違いであることに気づく事もあるかも知れませんが、そうして問い続ける事が唯一正解に近しいのではないのかと思います。

この春入社した希望に満ちた新入社員はもちろん、そんな新社会人を見て、「なんで自分は今の仕事をしてたんだっけ?」なんて考えた中堅社員の方にも参考になるかと思い、紹介させてただきました。

コメント