【書評】「できる人は1週間を『168時間』で考えている-バランスよく時間を管理する技術」本間 正人

1週間は7日間。週休二日の仕事なら5/7(約71%)は仕事です。そう考えると、自分のやりたいことをやる時間がないように感じますが、本書は1週間を「168時間」と捉えて時間管理することを推奨しています。就業時間を1日8時間としても、5日間で40時間、すると40/168(約24%)です。1週間をこうして捉えてみると、まだまだ自由に使える時間はありそうです。

予定を1週間=168時間で捉えて考えてみる

本書では、まず現在の時間の使い方について把握していきます。1週間=168時間をどのように使っているのか、実際に書いてみます。仕事の時間以外にも、食事や通勤・通学、睡眠、お風呂などの日常的な行為なども含めて書き出してみる。そして、さらにそれを168時間を100%とする円グラフであらわしてみると、自身がどんな事にどの程度時間を費やしているのか把握できます。

次にどのようにタイムデザインをしていくのか。本書では次のようなわかりやすいキーワードでステップを紹介しています。

1.STORYの原則
多くのタイムマネジメントの本では、タスク管理と連動して時間管理を行っていく手法が多いですが、それでは味気ない。本書では、自身を主人公とする一週間のストーリーを思い描くことからタイムデザインを始めます。一週間の中に起承転結を設け、登場人物や各登場人物とのやりとりも考えます。さらには、その1週間にタイトルをつけることで、より意識しやすくします。

2.FOCUSの原則
一度にいろいろやろうとして結局どれも中途半端になってしまうこと、よくありますね。(僕自身もそうですが)。そうではなく、この1週間の中で、何かひとつだけ項目を決めて集中して必ずやることを決めます。今週のテーマとしてあげた目標を確実に実行していきます。

3.Cancamの原則
これは「しなければいけない」ことに焦点をあてるのではなく、「できる」ことに焦点をあてて考えてみること。本書では1週間=168時間=10080分という、この80分の余分な時間を使って何が「できる」かを考えてみて、「思い切ってものを捨てる、ものを整理する」や「名刺の整理、ハードディスクの整理」など、80分でできる具体的な行動も紹介されています。

4.B-ingの原則
これは「何をするか」ではなく、「どうありたいか」を考えていくことをさします。ここでは、自身のアイデンティティについて考えてみて、自身に対する気づきを得ていくことから、さらには、ストレスマネジメントの方法まで含めて紹介されており、本書のサブタイトルでもある「バランスよく」時間を管理する上でも、重要な要素となっています。

5.WEDGEの原則
WEDGEとは「くさび」のこと。それ自体は小さいながらも、全体に大きな影響を与えるものです。たとえば4分間という隙間時間も、一週間では28分。1年で見ると丸一日です。この4分間の隙間時間にただボーっとすごすのではなく、事前に4分間でできることをメニューとして設けておき、時間が空きそうなら、そのメニューを実行していくことで、より有効な時間活用ができます。

6.Non-Noの原則
すべてに対してYESというのはなく、Noといえる自分を持つということ。人からの頼まれごとなどにより、自分の思うように時間管理ができないのは断れないことが原因となることがほとんどです。自身の中で、優先順位をしっかりと考えてみると、Noといえることが増えるかも知れません。こうして自分時間を作っていくこともタイムデザインの重要な要素です。

ここまで読んで気づかれるかと思いますが、いずれの原則も有名雑誌の名前にちなんでいます。これは、電車の中吊りなどを見た際にも、こうした原則を意識してほしいという著者の意図によるものです。こういうものを「くだらない」と思う方もいるかも知れませんが、こうした覚えておくべき原則は覚えやすい工夫を行うことも非常に重要であり、とても良いアイデアだと思いました。

168時間のタイムデザイン。まずは現状認識をする上でも、本書のステップにそって考えていかれてはいかがでしょうか。忙しくて時間管理がうまくできない方、本当にやりたいことに時間が使えないとお嘆きの方、具体的に何がしたいというわけではないけれど、もっと時間を有効に活用し、充実した人生を送っていきたいとお考えの方にお勧めです。

 

できる人は1週間を「168時間」で考えている―バランスよく時間を管理する技術
できる人は1週間を「168時間」で考えている―バランスよく時間を管理する技術 本間 正人

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時間に対する捉え方を変えるだけでも、時間管理の効率・効果は変わってくるものと思います。タイムマネジメントの本でもよく言われますが、たとえば、ある仕事を「今日中にやろう」と一日単位で考えるのと「今日の午前中でやろう」と半日単位、「3時間くらいでやろう」という時間単位、「2時間45分でやろう」という15分単位で捉えて行うのでは作業の効率も変わってきます。

前職でも、上司から仕事を頼まれた時に「これどれくらいでできる?」と聞かれて、「今日中には」などと曖昧な回答をするとよく叱られましたが、時間への意識の違いが時間の使い方にも大きく影響してきます。

本書では、1日を細分化していくのではなく、より大きく1週間を168時間として捉えるという考え方を提唱しています。この考え方の大きなポイントは、仕事の時間のみの管理ではなく、日常生活、週末も含めて時間の管理の対象としていることにあるのではないかと思います。

実際、先週1週間の時間の使い方を一覧にしてみるとわかると思いますが、忙しい忙しいといいながらも、無意味に過ごしている時間が意外と多いことに気づくのではないでしょうか。こうした時間をより自身が充実を感じられる行為へと振り向けることで、バランスの取れたタイムデザインが可能になるのだと思います。

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